TMS東京マインドフルネスクリニック

PMSとPMDDの理解と対応

メンタル

毎月女性を悩ませる「PMS」と「PMDD」

症状に悩む女性は多いのに、まだまだ正しく理解されていないのが現状です。不調を感じても、無理して仕事に行っている方も多いのではないでしょうか。個人差はあるものの、PMSやPMDDは、身体的にも心理的にもとても辛いものです。ご本人だけではなく、職場や、パートナー、友人など周囲の方々にも是非知識を持っていただきたいです。

今回は、最近よく耳にする「PMS」と、あまり馴染みのない「PMDD」について、その違いや症状、どのように対応すれば良いのかを詳しく解説していきます。

PMSとPMDDの違い

PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)は、月経周期に関連して現れる一連の症状で、特に生理の前に症状が悪化するのが特徴です。一般的な統計によると、PMSは生理のある女性の大部分、約75%が何らかの形で経験しているとされています。これに対して、PMDDはより重度で、全体の3%から8%の女性がPMDDの症状を経験しています。


PMS(月経前症候群)

PMSは、生理の1〜2週間前に現れる一連の身体的、心理的症状のことを指します。これらの症状は、生理が始まると通常は改善されます。PMSの症状は非常に多様で、個人差が大きいですが、以下のような症状が一般的です。

身体的症状

  • 腹痛
  • 頭痛
  • 胸の張り
  • 関節や筋肉の痛み
  • 疲労感
  • 食欲変動
  • 体重の増加
  • むくみ

心理的症状

  • 感情の起伏
  • イライラ
  • 抑うつ感
  • 不安
  • 集中困難
  • 社交的な引きこもり

PMDD(月経前不快気分障害)

PMDDはPMSの中でも特に重度の形態で、生理が始まると改善されるPMSに対して、生理が終わるまで症状が続くため、不調の期間が長いのが特徴です。また、以下のように症状も深刻で、日常生活や対人関係に大きな影響を及ぼす可能性があります。

主な症状

  • 深刻な抑うつ感、絶望感、自己嫌悪
  • 明らかな不安、緊張、感情のエッジが立つ
  • 感情の起伏が激しい、泣きやすい
  • 恒常的な怒りやイライラ、他人への対立感が増す
  • 興味や楽しみが感じられない
  • 疲労感、エネルギーの低下
  • 集中困難
  • 食欲の変化、過食や全く食べられない
  • 睡眠の問題(過眠または不眠)
  • 身体的な症状、特に腹痛、頭痛、乳房の張り

PMSとPMDDの原因について

どちらも明確には分かっていませんが、PMSとPMDDは、女性ホルモンの周期的な変動とそれに伴う神経伝達物質への影響が原因だと考えられています。

01ホルモンの変動

ホルモンの変動では、特にエストロゲンとプロゲステロンの周期的な増減が重要な役割を果たします。これらのホルモンは月経周期に沿って変化し、特に黄体期(生理の約2週間前から生理開始まで)にプロゲステロンがピークに達し、その後減少します。このホルモンの変動は、身体的なだけでなく心理的な症状を引き起こすトリガーとなることが知られています。

02神経伝達物質への影響

セロトニンの不足が主要な症状に大きく関与しています。ホルモンの変動が脳内のセロトニンの動きを変えることで、気分の変動、不安、抑うつ感などの心理的症状が引き起こされるとされています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、心を安定させる働きがあります。セロトニンの分泌が少なくなると感情のコントロールが難しくなり、イライラ感や不安感が現れやすくなります。

03その他の要因

それ以外にも環境や、生活習慣や遺伝的要因も、PMSとPMDDの感受性に影響を与えると考えられています。ストレス、睡眠不足、不健康な食生活、運動不足などが症状の程度を左右します。


うつ病との関係

PMSとPMDDは、特にPMDDにおいて、うつ病と重なる症状が見られることがあります。これらの状態は、生理周期に関連して現れる感情的または身体的不調で、特にPMDDはその症状の重さからうつ病と間違えられやすい特徴があります。どちらも抑うつ感、無力感、不安、興味喪失、睡眠障害などを引き起こすことがありますが、これら二つの障害にはいくつかの重要な違いがあります。

周期性

PMDDの症状は生理周期(特に月経の前1〜2週間)にみられ、月経が始まると症状が軽減します。一方、うつ病は周期性を持たず、症状が持続的です。

原因

PMDDの原因は主にホルモンの変動とその神経伝達物質への影響によるものですが、うつ病は生物学的、環境的、心理的などの要因が複雑に絡み合って引き起こされます。

うつ病との併発

PMDDがある女性は、うつ病を発症するリスクが高いとされています。また、既にうつ病を持っている女性は、PMDDの症状が重くなる可能性があります。これは、両状態がセロトニン系の機能障害を共有しているためです。そのため、治療計画を立てる際には、これらの状態が互いにどのように影響を与え合っているかを考慮することが重要です。

PMSとPMDDに対する対処法、治療について

PMSやPMDDの症状を改善し、生活の質を向上させるためには、ご自身での日常的対策と専門的な治療が必要不可欠です。

主な症状と日常的対処法

情緒不安定・怒りやイライラ

感情の起伏が激しく、些細なことでイライラや怒りを感じやすくなります。

  • 対応方法

感情の起伏やイライラを抑えるために、定期的な運動でストレスホルモンを減らします。ヨガや瞑想などのリラクゼーション活用して感情のコントロールすることも大切です。まずは深呼吸することから。


抑うつ感

気分が沈み、何をするにもやる気が起きない。

  • 対応方法

自然光を浴びてセロトニンのレベルを高めることで、気分を向上させます。また、カウンセリングなどの心理療法を受けることも、抑うつ感の解消につながります。


不眠または過眠

寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、または異常に眠い。

  • 対応方法

良好な睡眠習慣を作ること、一定の就寝時間を設けて快適な寝室環境を整えることが大切です。できれば午後からはカフェインの摂取を避けることで、睡眠の質が改善していきます。


体の不調(頭痛、腹痛、胸の張り)

月経前に頭痛や腹痛が生じることが多く、胸の張りを感じることがあります。

  • 対応方法

忙しい日でもなるべく温かいお風呂に浸かることで、痛みが和らぎます。症状がひどい場合は医師の指示に従って非ステロイド性抗炎症薬を使用します。


食欲異常

生理前になると、特定の食べ物(特に甘いものや塩辛いもの)を無性に食べたくなる。

  • 対応方法

血糖値の急激な変動を避けるためにバランスの取れた高繊維質の食事を意識し、小間食を心がけます。ビタミンB6、カルシウム、マグネシウムの摂取を増やすことで食欲がコントロールできます。

「TMS治療」で医学的アプローチ

軽症のPMSであれば低容量ピルを使ったホルモン治療や漢方薬などの治療が一般的です。しかし、精神面での症状が強いPMDDにはホルモン治療での改善は難しく、抗うつ剤や抗不安薬の服薬や精神療法が主になります。これらの治療には、副作用が伴う可能性あります。ホルモン治療には、気分変動、体重増加、頭痛などが報告されています。

治療を検討する上でしっかり理解しておくべきことはからだにとって大きな負担となり得る「副作用」です。

この図を見ても、TMS治療には、副作用が圧倒的に少ないことがわかります。

抗うつ薬とTMS治療での副作用の比較

当院では、PMS、PMDDに対する革新的な治療法として、TMS治療(経頭蓋磁気刺激)を提供しています。TMS治療は、特定の脳領域に繰り返し磁気刺激を行い、神経ネットワークの調整を通じて症状の改善を目指す方法です。


TMS治療とは

TMSは、TMS磁気刺激装置という特殊なコイルのついた機器で、脳へ電流を流し磁場を発生させます。この磁場は神経細胞に微細な電流を誘発し、神経可塑性を促進します。これにより、PMSやPMDDに関連するセロトニンの分泌不足や情緒の不安定さが調整され、症状の軽減が期待できます。

抗うつ剤などの投薬治療に抵抗のある方に対しては、人間の感情に大きく関わる背外側前頭前野を含む前頭葉を「磁気刺激」を使ってセロトニン分泌を促すTMS治療が有効とされており、PMDDへの治療の選択肢としては世界的に一般化されています。

まとめ

PMSやPMDDは、多くの女性にとって深刻な問題です。当院でのTMS治療により、副作用に悩む方や、より持続的な解決を求める方のお役に立てれば幸いです。

東京TMSマインドフルネスクリニックでは、専門の医師が一人ひとりの状態に合わせた治療計画を提案し、新たな治療の選択肢をご提供します。どうぞお気軽にお問合せください。