なくならないコロナウイルス
2019年12月、最初の感染からわずか数ヶ月で世界中に広がったコロナウイルスですが、4年以上経った今でも私たちを苦しめています。コロナウイルスは、感染後も数ヶ月や数年にわたってさまざまな臓器系に潜むことや、免疫反応を引き起こすことが示されています。
感染者数は落ち着いたり増加したりを繰り返していますが、最近、オミクロン株から派生した新たな変異株「KP.3」の影響で感染者が再び増加しています。第11波として、今後も感染者が増えることが予想されています。
新型コロナ後遺症とは?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した後、何かしらの症状が続くことがあります。医学的に証明できず、2か月以上続いているこれらの症状を「コロナ後遺症」や「ロングコビット」と呼びます。
これらの症状は個人差が大きく、身体的なものから精神的なものまで多岐にわたります。まだ解明されていないことも多く、長期間症状が改善されずに悩む方も多くいらっしゃいます。
コロナ後遺症のよくある症状
コロナ後遺症には様々な症状があり、症状の組み合わせや重症度も様々です。呼吸器や循環器系の問題、味覚や嗅覚の障害、精神や神経系の症状などが含まれます。これらの症状は、感染の重篤度にかかわらず発生し、完全な回復を妨げる重要な要因となっています。
特にブレインフォグや慢性疲労症候群などは、患者の日常生活に大きな影響を与えるため、効果的な治療法の開発が急がれています。
倦怠感
後遺症を訴える方の中で一番多いのが倦怠感です。疲れが取れない、または疲れやすいといった症状があります。ある程度安静にしていれば回復する方から、一日中横になってしまう方もいらっしゃいます。自分では体調管理をしているつもりでも、よくなったと思ったら再び悪化してしまうことがあります。
このような精神的なダメージにより、仕事や家事、趣味に対する意欲も失われていきます。コロナ感染後に十分な休養を取らず、無理に仕事に復帰すると倦怠感が残りやすいという傾向があります。
記憶障害
最近の出来事や情報を覚えておくことが難しくなり、過去の出来事についての記憶が曖昧になることがあります。昨日何を食べたか、どこへ行ったかを思い出せない、鍵や財布、携帯電話などの重要な物を頻繁に置き忘れることも日常茶飯事です。
会議の内容を覚えていなかったり、締め切りを忘れてしまったりなど、仕事や学業での重要な情報やタスクを忘れてしまい、パフォーマンスが低下することがあります。
注意障害
長時間の会議や勉強に集中するのが難しくなり、内容を十分に理解できなくなることがあります。さらに、周囲の環境からの刺激(音や動きなど)に敏感になりやすく、気が散りやすくなります。
学業や仕事中に周囲の雑音に気を取られてしまい、一つの作業を効率的に進めることが難しくなることで、生産性が低下します。普通では間違えないことを失敗することもあり、自己評価も下げてしまうことが多くあります。
味覚・嗅覚障害
味や匂いが感じられなくなることがあります。これは、コロナ流行時から、メディアで取り上げられていたことなので、多くの方が認知していると思います。
初期症状としては、感覚がなくなることが多いのですが、特定の味や匂いがわからなくなったり、急に変な匂いを感じるなど、徐々に症状が変化していく方もいます。
これらの感覚の喪失は、食事の楽しみを失わせ、栄養不足や体重減少の原因となることもあります。また、嗅覚の喪失は、腐っているのを分からずに食べてしまったり、ガス漏れなどの危険を察知できないなど、安全面でも問題を引き起こします。
頭痛
突然強烈な痛みに襲われたり、頻繁に頭が痛くなることがあります。
痛みの箇所や強さや、持続時間も個人によって異なりますが、もともと頭痛持ちの方は、症状が悪化することもあります。ズキズキ脈打つような痛みや、締め付けたような痛み、毎日症状がある方もいます。
呼吸困難
呼吸器や循環器系の症状として、息切れや呼吸の苦しさが続くことがあります。症状がひどい場合には、日常的な活動や運動が制限され、体力が低下する可能性があります。
動悸や咳、胸痛などがある場合は、呼吸器や循環器にて専門的な検査が必要となります。重症の場合、安静にしていても呼吸困難を感じることがあります。
精神的症状
身体面だけでなく、精神面でも後遺症が残ることがあります。なぜか頭がぼーっとしてしまい、思考が停止してしまう、いつも不安な気持ちになってしまうなどのうつ症状が顕著になることがあります。
もともとうつ病や躁うつ病の既往歴のある方がコロナ感染を機に再発してしまうこともよくあります。やる気が出ない、イライラする、悲観的になるなどの症状により、社会的な活動や対人関係に支障をきたし、孤立感が深まることもあります。
コロナ後遺症に対するTMS治療
コロナ後遺症に苦しむ多くの方にとって、新たな治療選択肢として注目されているのが経頭蓋磁気刺激治療(TMS)です。TMSは、非侵襲的で副作用が少ない治療法として知られており、特に神経系の障害や精神疾患の治療に有効です。
コロナ後遺症におけるTMSの使用は、特にブレインフォグや慢性疲労、うつ症状などの神経精神的な問題に対する治療として期待されています。
まとめ
コロナ後遺症に対するTMS治療の研究はまだ始まったばかりではありますが、認知障害や精神的疲労感に対して有効な改善をもたらすことが示されています。慢性的な疲労感や集中力の欠如、情緒の不安定さを感じている方は、東京TMSマインドフルネスクリニックまで、どうぞお気軽にお問い合わせください。