TMS治療に通い始めても、毎日の気分に波があると「効いているのかわからない」と迷うことがあります。回数やその日の感覚だけで結論を急ぐ必要はありません。一方、つらさを我慢して続ければよいわけでもありません。治療前との違い、残っている困りごと、副作用を分けて、診察で確認する視点をお伝えします。
この記事でわかること
気分・生活・負担を別々に記録すると、次の治療方針を相談しやすくなります。
回数ではなく、治療前との違いを確認します
TMSは磁気刺激を用いる治療で、うつ病の治療選択肢の一つです。変化の現れ方には個人差があり、決まった回数で全員が改善するものではありません。期待した変化がないと感じたときも、ご本人の努力不足という意味ではありません。
『少し楽』と『生活が戻る』を分けます
朝の支度に取りかかれる、食事の味を感じる、短い会話が負担でなくなるなど、生活の変化も診察の材料です。ただし、一つできることが増えたから治療が十分に効いたとは言い切れません。気分のつらさと生活の支障を両方伝えましょう。
| 見る項目 | 相談時に伝える例 |
|---|---|
| 気分・意欲 | 落ち込みの強さ、楽しめる時間、焦りの変化 |
| 睡眠・食事 | 寝つき、中途覚醒、起床、食欲の変化 |
| 生活の支障 | 身支度、家事、仕事で難しいこと |
| 治療の負担 | 頭痛、通院後の疲れ、時間や費用の負担 |
良い日だけ、悪い日だけで判定しません
調子には日ごとの揺れがあります。忙しい週や睡眠不足の翌日は、治療とは別の負荷が重なることもあります。治療前と今を同じ項目で振り返り、良い日と悪い日の両方を伝えると、一日の印象だけで判断することを避けられます。
短い記録を、診察で使える情報にします
詳しい日記を毎日完成させる必要はありません。記録するほど落ち込む場合は、負担の少ない方法を相談してください。『昨日は入浴できたが、買い物には行けなかった』のような具体例一つでも役立ちます。
記録の項目と振り返る時期を決めます
気分、睡眠、生活で困った場面を短く残します。点数を使うなら同じ基準を続け、インターネットの自己採点だけで治療の継続や終了を決めないことが大切です。診察で使う評価尺度も、医師の診察と組み合わせて意味を確かめます。
- 開始前に特につらかった症状を一つか二つ選ぶ
- 良くなったことと変わらないことをそれぞれ残す
- 薬の変更、睡眠不足、大きな出来事も書き添える
- 次に評価する時期と、早めに連絡する状態を相談する
『何割良くなりましたか』に答えにくければ、そのまま伝えて構いません。家族の観察を添える場合も、ご本人の感じ方を置き去りにしないようにします。家族から元気に見えても、内側のつらさが残ることはあります。
変化が乏しいときに確認したいこと
診断、これまでの治療、現在の薬、睡眠、生活上の負荷、刺激の条件などを医師が見直します。続ける、計画を調整する、別の治療を検討するなど、選択肢は一つではありません。自己判断で照射の強さを求めたり、薬を減らしたりせず、見通しを相談しましょう。
説明が曖昧に感じるときは、『何を改善の指標にしていますか』『次の評価で変化がなければ何を考えますか』と聞いてください。治療を続ける理由だけでなく、見直す条件も共有しておくと、納得して選びやすくなります。
我慢せず相談したい変化と、当院での確認
主な副作用には、治療中の頭皮の刺激感・痛み、顔まわりの不快感、頭痛などがあります。痛みが続く、通院が生活を圧迫する、落ち込みが強まったときは、予定した評価日を待たず担当医に伝えてください。
急な悪化は効果判定とは別に対応します
早めの対応が必要なとき
自分を傷つけたい気持ちが強い、食事や水分が取れないなど、安全や生活を保てないときは、すぐに医療機関を受診してください。切迫した危険がある場合は119へ連絡します。通常の予約フォームだけで緊急の助けを待たないでください。
眠らなくても平気になり、活動や買い物が急に増えるなど、いつもと異なる高揚も『良くなった』だけで済ませず医師へ伝えます。気分の変化の種類によって、必要な評価が変わるためです。
追加回数を決める前に見通しを共有します
当院では症状や治療歴を伺い、TMSの適応を診察で確認します。費用は自由診療(公的医療保険適用外)で1回9,900円(税込)、10回分の費用は99,000円(税込)です。これは回数に応じた計算例で、治療終了までの総額を示すものではありません。最低10回程度をご案内していますが、10回での改善や終了を保証するものではありません。必要な回数には個人差があります。
治療の仕組みはTMS治療について、費用の確認は費用とプランをご覧ください。薬物療法や心理療法を含め、現在の主治医とも情報を共有して治療全体を考えます。
よくある質問
Q
一度も気分が軽くならないと、もう効かないのでしょうか?
Q
一度も気分が軽くならないと、もう効かないのでしょうか?
A
その感覚だけでは結論を出せません。
開始前との比較、治療条件、治療期間を確認します。変化がないこと自体も大切な情報ですので、遠慮せず担当医へ伝えてください。
Q
周囲は元気になったと言いますが、自分ではつらいです。
Q
周囲は元気になったと言いますが、自分ではつらいです。
A
ご本人のつらさを優先して伝えて構いません。
周囲から見える行動と、気分や疲れの感じ方は一致しないことがあります。両方の情報を診察で確認します。
Q
効果を出すために痛みを我慢する必要がありますか?
Q
効果を出すために痛みを我慢する必要がありますか?
A
痛みの強さは効果の目安ではありません。
どこが、いつ、どの程度痛むかをスタッフや医師へ伝え、安全性と続けられる条件を確認してください。
Q
調子が良い日は薬を減らしてもよいですか?
Q
調子が良い日は薬を減らしてもよいですか?
A
自己判断で増減や中止をせず、処方医へ相談してください。
治療の影響を評価するためにも、服薬状況と変更の有無を共有することが大切です。
Q
記録を忘れたら診察で相談できませんか?
Q
記録を忘れたら診察で相談できませんか?
A
記録がなくても相談できます。
最も困っていること、前回より変わったことを一つずつ伝えるだけでも構いません。記録を続ける負担についても相談してください。
まとめ
評価のための記録は、治療を受ける方を採点するものではありません。変わった点と変わらない点を共有し、次の選択を一緒に考えるために使います。
効果への迷いや通院の負担も、診察でお話しください。当院では現在の症状とこれまでの経過を伺い、TMS治療を検討するうえでの疑問を一緒に整理します。
※本記事は当院から、症状や治療についてご相談いただく際の考え方をお伝えするものです。実際の診断や治療方針は、診察時に医師が状態を確認してご説明します。治療中の方は主治医の指示を優先し、薬の増減・中止を自己判断で行わないでください。