休職の診断書が出て少しほっとしたものの、「このまま休んでいていいのだろうか」「職場に戻れるのだろうか」と不安が押し寄せていませんか。うつ病からの回復には段階があり、時期ごとに過ごし方のコツが変わります。この記事では、休職直後から復職までの流れと治療の選び方を、当院の視点で整理します。
この記事でわかること
- 休職直後に意識したいこと・無理にやらなくていいこと
- 復職までを3つの時期に分けた過ごし方の目安
- 薬物療法・精神療法・TMS治療など治療の選び方
目次
休職直後は「しっかり休むこと」がいちばんの仕事です
休職が始まったばかりの時期は、心身のエネルギーが大きく減っている状態です。眠れない、何もする気が起きないといった状態は、怠けではなく症状の一部です。まずは治療と休養に専念できる環境を整えることを優先します。
休んでいるだけで、本当に回復するのでしょうか?
診察でも、多くの方が同じ不安を口にされます。うつ病の回復には、脳と心身を十分に休ませる期間が必要と考えられています。焦って活動を増やすより、回復の土台をつくる時期だと捉えてください。休職直後は、次のような点を意識すると休みやすくなります。
- 仕事のメールやチャットの通知は、できる範囲で止める
- 退職などの大きな決断は、回復してから考える
- 傷病手当金などの手続きは、家族や人事と分担する
- 通院は自己判断でやめず、定期的に続ける
つらさが強まるときは、次の予約を待たずにご相談ください
気分の落ち込みが急に強まる、死にたい気持ちが浮かぶといったときは、ひとりで抱え込まず、すぐに医療機関へ相談してください。当院では、状態の変化に合わせて診察のタイミングを調整します。
復職までの過ごし方は、3つの時期に分けると整理しやすくなります
厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」でも、休業から職場復帰までは段階を踏んで進める流れが示されています。大切なのは、休んだ期間の長さではなく、回復の状態に合わせて次の段階へ進むことです。
ここでは目安として、休養期・回復期・復職準備期の3つに分けてご説明します。進むペースには個人差があるため、迷ったときは診察時にご相談ください。
01休養期:心と体を休めることを最優先にする
睡眠と食事がとれること、安心して休める環境をつくることが目標です。生活リズムが乱れても、この時期は責めなくて大丈夫です。「何もしない時間」を自分に許すことが、回復の第一歩になります。
02回復期:生活リズムを整え、活動を少しずつ広げる
朝起きて夜眠るリズムを取り戻し、散歩や買い物など軽い活動から始めます。「心地よい」「疲れすぎない」と感じられる範囲を、少しずつ広げていくのがコツです。読書など頭を使う活動は、調子のよい時間帯に短時間から試すと負担を測りやすくなります。調子の波があっても、後戻りではなく回復の過程と考えてください。
03復職準備期:働く練習と職場との調整を進める
図書館などで決まった時間を過ごす練習や、通勤経路を歩く練習が役立ちます。リワーク(復職支援プログラム)の利用を検討できる場合もあります。復職の可否は、主治医の診断書に加えて、産業医や職場の意見も踏まえて決まるのが一般的です。職場と連絡を取る際は、復帰の時期だけでなく、復帰直後の業務量や勤務時間についても相談しておくと安心です。
治療の選び方は、選択肢を並べて整理すると迷いにくくなります
休職期間は、治療を立て直す機会でもあります。うつ病の治療は、休養と環境調整を土台にして、症状や経過に合わせて選択肢を組み合わせるのが標準的な考え方です。主な選択肢を整理すると、次のようになります。
| 休養・環境調整 | すべての治療の土台です。負担の原因から距離を取り、回復に専念します。 |
|---|---|
| 薬物療法 | 抗うつ薬などで症状の改善を図ります。効果や副作用は医師と相談しながら調整します。 |
| 精神療法 | 認知行動療法など。考え方や対処のパターンを整理し、再発予防にもつながります。 |
| TMS治療 | 磁気刺激で脳の働きのバランスを整える治療です。当院では薬に頼らない選択肢として提供しています。 |
薬物療法と精神療法は、標準的な治療の柱です
薬が合わないと感じても、自己判断で中止せず、主治医に伝えて調整することが大切です。精神療法は、復職後のストレスへの対処を準備するうえでも役立ちます。
当院のTMS治療は、復職を見据えた通院設計ができます
TMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)は、磁気刺激をくり返し行うことで脳の神経ネットワークのバランスを整える治療です。手術や入院は不要で、通院しながら受けられます。研究では、抗うつ薬が効きにくい方の3〜4割に改善効果が報告されています。
当院は完全予約制で、診療受付時間は10:00~19:00(不定休)です。治療期間は通常4〜12週間程度で、休職中の生活リズムづくりを兼ねて通院される方もいます。費用の詳細は費用とプランのページをご覧ください。
よくある質問
Q
休職期間はどのくらいになりますか?
Q
休職期間はどのくらいになりますか?
A
一律には決まっていません。
症状の重さや経過によって幅があり、回復の状態を見ながら主治医と相談して判断します。期間の長さより「回復の段階」を目安にすることが大切です。
Q
休職中は毎日何をして過ごせばいいですか?
Q
休職中は毎日何をして過ごせばいいですか?
A
時期によって変わります。
最初は休養が最優先です。回復してきたら、散歩や家事など軽い活動で生活リズムを整え、復職前は決まった時間に外出する練習へ進めます。
Q
復職のタイミングは誰がどう決めるのですか?
Q
復職のタイミングは誰がどう決めるのですか?
A
主治医と職場の双方の判断で決まります。
主治医の診断書をもとに、産業医や人事との面談を経て復職日や働き方を調整するのが一般的です。焦らず段階を踏むことが再発予防につながります。
Q
休職中にTMS治療を受けることはできますか?
Q
休職中にTMS治療を受けることはできますか?
A
受けられる場合があります。
当院では、症状や治療歴、体内の金属類の有無などを診察で確認したうえで適応を判断します。休職中の通院スケジュールもあわせてご相談いただけます。
Q
復職後にまた休職にならないか不安です。
Q
復職後にまた休職にならないか不安です。
A
再発予防の工夫を準備できます。
復職直後は短時間勤務などで負荷を調整し、通院を続けながら睡眠や疲れのサインを早めに拾うことが大切です。不安な点は診察時に一緒に整理しましょう。
まとめ
うつ病での休職は、キャリアの中断ではなく、回復のために必要な治療期間です。休養期・回復期・復職準備期と段階を踏むことで、復職までの道筋が見えやすくなります。
治療は、休養と環境調整を土台に、薬物療法・精神療法・TMS治療などを組み合わせて考えます。どれかひとつを選ぶというより、いまの状態に合う組み合わせを医師と一緒に探すことが大切です。
POINT
休職中の過ごし方に、ひとつだけの正解はありません。当院では、生活リズムやお仕事の状況を伺いながら、復職までの治療と通院の計画を一緒に整理します。
※TMS治療の効果や適応、通院ペースには個人差があります。当院では診察時に状態を確認し、治療方針や通院設計をご説明します。
当院のTMS治療は自由診療(公的医療保険適用外)です。費用は1回9,900円(税込)で、最低10回程度を目安にした場合の標準的な総額は99,000円(税込)です。主な副作用として、頭皮の刺激感や痛み、顔まわりの不快感、頭痛などがあり、ごくまれにけいれん発作が起こるリスクがあります。人工内耳や磁性体クリップ、心臓ペースメーカーが体内にある方は治療を受けられないため、診察時に確認したうえでご案内します。