TMS東京マインドフルネスクリニック

ADHDで家事が終わらない時の実行機能と生活の工夫

洗濯を始めたのに片づけまで進まない、献立を考えているうちに時間が過ぎる、家族から何度も指摘されてつらい。ADHDのある方では、家事の開始、順序づけ、切り替え、完了確認に関わる実行機能の負担が表れやすいことがあります。ただし、家事が苦手なだけでADHDと決まるわけではありません。

この記事でわかること

  • 家事で実行機能の負担が表れやすい場面
  • 記憶や気合いに頼らず家事を終える仕組み
  • 睡眠・うつ症状との違いと受診で伝えたいこと

目次


家事は、小さな判断と切り替えが連続する複雑な作業です

家事は一つの仕事に見えて、実際には「気づく」「始める」「順番を決める」「途中の刺激を避ける」「終わりを確認する」という複数の工程でできています。ADHDでは、この実行機能に負荷がかかると、能力や意欲があっても途中で止まりやすくなります。

たとえば洗濯は、分ける、洗う、干す、取り込む、たたむ、しまうまで続きます。最初の工程だけ終わっても、次の作業を思い出す仕組みがなければ、衣類が洗濯機やかごに残りやすくなります。

開始何から手をつけるか決められず、目の前の別のことを始める。
順序必要な道具や材料が途中で足りないことに気づき、作業が止まる。
切り替え通知や家族の声で中断すると、元の作業へ戻りにくい。
時間感覚短いと思った作業に時間がかかり、ほかの予定が崩れる。
完了片づけや確認が残り、家事全体が終わった感覚を得にくい。

努力不足と決めつけないでください

家事の困りごとは、ADHD以外にも睡眠不足、うつ症状、不安、過労、身体の不調で起こります。診断名より先に、どの工程で止まるかを見つけることが役立ちます。


家事は、覚えておくより「見れば次が分かる形」に変えます

家事を完璧にこなす目標ではなく、負担の大きい工程を外へ出すことから始めます。チェック表を増やしすぎると管理そのものが負担になるため、困る頻度が高い家事を一つだけ選びます。

01 終了条件を一行で決める

「洗濯する」ではなく「衣類をしまったら終了」のように、最後の状態を決めます。どこまで進めればよいかが明確になります。

02 道具を使う場所にまとめる

掃除用品を一か所に集めるより、使う場所の近くへ少量ずつ置く方が開始しやすい場合があります。収納の美しさより、取り出す動作の少なさを優先します。

03 中断後に戻る印を作る

家族に呼ばれたときは、作業中の場所へ目立つクリップを置く、スマホに短いタイマーを入れるなど、戻る場所を外へ残します。

04 最低限の日と余裕のある日を分ける

疲れている日は食器を一か所に集めるまで、余裕のある日は洗って戻すまで、というように基準を二段階にします。毎日同じ完成度を求めないことが継続につながります。

  • 家族への依頼は「手伝って」ではなく作業名と期限を伝える
  • 責め合いになりやすいときは、困る工程を一緒に確認する
  • 使えなかった仕組みは失敗ではなく、工程が合わなかった情報と考える

家事を続ける力より、途中から戻れる仕組みを優先します

家事の支障が続くときは、幼少期からの傾向と今の体調を分けて相談します

ADHDの評価では、家事の困りごと一つだけで判断しません。幼少期から似た傾向があったか、学校や仕事など複数の場面で支障があるか、睡眠不足、うつ症状、不安、ほかの発達特性が重なっていないかを確認します。

受診前には、できなかった家事の数を数えるより、開始・中断・時間・完了のどこで困るかを一週間ほど記録すると役立ちます。家族の言葉は診断の代わりではありませんが、生活場面を理解する資料になります。

受診で伝えたいこと困る家事、止まりやすい工程、幼少期からの傾向、仕事や対人関係への影響。
一緒に確認すること睡眠、気分、服薬、身体の不調、ASDなどほかの特性との重なり。
標準的な支援環境調整、心理社会的支援、必要に応じた薬物療法などを個別に検討します。
当院のTMSADHDそのものへのTMSは国内承認された適応ではありません。効果を断定せず、併存するうつ症状などを含め適応を診察で見極めます。

当院では、TMS治療を家事能力を直接高める方法として一律に勧めません。現在の困りごとの背景と標準的な支援を確認し、治療歴や安全性を踏まえて選択肢を説明します。

よくある質問

Q

家事が苦手ならADHDですか?

A

家事の苦手さだけでは判断できません。


幼少期からの傾向、仕事や学校など複数場面の支障、睡眠や気分の状態を含めて医療機関で評価します。

Q

チェックリストを作っても続きません。

A

項目を一つまで減らしてみましょう。


管理する項目が多いと負担になります。最も困る家事を選び、終了条件と次の一手だけを見える場所へ置きます。

Q

家族はどのように声をかければよいですか?

A

性格ではなく工程について話します。


「だらしない」ではなく「洗濯物をしまう工程が残っている」のように、責めずに具体的な作業を共有してください。

Q

薬を飲めば家事がすべてできるようになりますか?

A

薬だけで全て解決するとは限りません。


薬物療法が役立つ方もいますが、環境調整や作業の分け方を組み合わせることが大切です。処方は医師が個別に判断します。

Q

ADHDへのTMS治療を受けられますか?

A

診察で適応と限界を説明します。


ADHDへのTMSは国内承認された適応ではありません。併存症、治療歴、安全性を確認し、標準的な支援を尊重したうえで個別に検討します。

まとめ:家事の困りごとは、気合いより工程の見える化で整えます

家事は開始、順序づけ、切り替え、時間管理、完了確認が連続するため、実行機能の負担が表れやすい作業です。

一つの家事を選び、終了条件、道具の場所、中断後の戻り方を見える形へ変えると、記憶だけに頼らず進めやすくなります。

家事の支障が長く続く場合は、ADHDと決めつけず、幼少期からの傾向、睡眠、気分、ほかの生活場面への影響を整理して相談してください。

今日変えること最も困る家事を一つ選び、終了条件と戻る印を作る。
相談時に伝えることどの工程で止まるか、幼少期からの傾向、睡眠・気分・仕事への影響。

当院へのご相談

家事が終わらない悩みを、努力不足として抱え込む必要はありません。当院では生活場面の困りごとを工程に分け、ADHDの可能性や併存する症状、治療の選択肢を整理します。

ADHDについてはADHDのTMS治療をご覧ください。関連コラムは大人のADHDで仕事のミスが増える時ブレインフォグが続く時の相談目安も参考になります。

自由診療(保険外診療)に関するご案内

当院でTMS治療をご案内する場合、自由診療(公的医療保険適用外)となります。

費用・期間の目安:1回 9,900円(税込)。治療の効果を出すためには最低10回程度(総額目安:99,000円)が目安となります。通院期間は通常4〜12週間程度です。

主なリスク・副作用:治療中の頭皮の刺激感・痛み、顔まわりの不快感、頭痛などがあり、多くは一時的で治療経過とともに軽減します。

適応外使用(オフラベル使用)について

未承認の旨:本治療で用いる反復経頭蓋磁気刺激装置は、国内において「既存治療抵抗性の成人のうつ病」を効能・効果として薬事承認を得ていますが、うつ病以外の症状(慢性疲労、脳疲労、ブレインフォグ、不眠症、不安・パニック障害等)に対するTMS治療は、国内においては医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を得ていない適応外使用(オフラベル使用)となります。

入手経路:当院で使用する治療装置は、国内の正規代理店より医療機器として法的に購入しております。

国内承認機器の有無:うつ病以外の症状(慢性疲労、脳疲労、ブレインフォグ、不眠症、不安・パニック障害等)を対象として国内で薬事承認されている経頭蓋磁気刺激装置は存在しません。

諸外国における情報:諸外国において、特定の精神疾患、睡眠障害、神経症状等に対してTMS治療の臨床試験や承認等が行われている地域がありますが、国内における適応外使用においては、重大なリスクがすべて明らかになっていない可能性があります。

救済制度の対象外:承認された効能・効果、用法・用量に従わず適応外使用(オフラベル使用)により重篤な健康被害が生じた場合、国の「医薬品副作用被害救済制度」の給付対象外となる場合があります。