新型コロナ感染症がⅤ類に分類され、重篤化や死亡者数は減少していますが、代わってコロナ後遺症、中でも倦怠感やブレインフォグと言われる脳関連症状の増加が問題となっております。通常のウイルスではウイルスが脳内で増殖する事で脳関連症状が発現するのですが、新型コロナウイルスは脳内で増殖を認めず、脳内炎症や倦怠感などの脳関連症状が発現していた為、明確な原因が解明されていませんでした。
この度 東京慈恵会医科大学ウイルス学講座のマウスによる研究が、米科学誌「science」に掲載されました。
- コロナ感染症により鼻腔内でスパイクタンパク(S1タンパク)が発現すると、脳内炎症(炎症性サイトカインIL-6が亢進)が発現し、脳関連症状の原因となる可能性。
- 脳内のアセチルコリン不足による脳内炎症がコロナ後遺症の原因となる可能性。
- アセチルコリンを増やす働きのある認知症薬「アリセプト」が有効である可能性。
コロナ後遺症を引き起こすS1タンパク質の鼻腔内発現率は不明ですが、コロナ罹患によりブレインフォグは誰にも起こりうる疾患であるという事が再確認されました。
脳内伝達物質の活性化、ブレインフォグなどで低活動になった前頭前野を活性化させるTMS治療はコロナ後遺症の早期改善、またはうつ病への遷延を予防する画期的な治療であると期待されております。早期のTMS治療により著効例が多いという臨床データの裏付けになる治験であり、ブレインフォグなどを伴う「コロナ後遺症」に対するTMS治療には 今後さらなる期待が高まっています。