TMS東京マインドフルネスクリニック

子どもを襲う「デジタル認知症」デジタル学習に潜む危険

子どもの未来に影響するデジタル依存

みなさんは一日にどのくらいデバイスを使っていますか?

デジタル化が推進されている現代の教育現場では、子どもたちの間で、スマートフォン、タブレットなどのデバイスが日常的に使用されるようになりました。コロナによる影響で、学校教育だけでなく、様々な習い事もオンラインでの実施が可能となり、デジタルデバイスへの依存が一層深まっています。

今回は、デジタルデバイスの過剰な使用が、子どもたちの認知発達にどのような影響を及ぼすか、「デジタル認知症」という新たな認知機能障害を引き起こす可能性についてご説明します。

認知症とデジタル認知症の違いについて

認知症とデジタル認知症は、それぞれが異なる原因と特徴を持つ認知機能の障害です。理解を深めるために、比較してみます。


認知症の特徴

認知症は、通常、中年期以降の高齢者に多く見られる症状群であり、脳の構造的、化学的変化が原因で発症します。

アルツハイマー病、脳血管障害、ルイ体病など、さまざまな病態が認知症を引き起こすことが知られています。

認知症の主な症状

01記憶障害

新しい情報の記憶が困難になり、特に短期記憶(最近の出来事や会話)を忘れるようになります。

02判断力の低下

日常的な判断が困難になり、状況に応じた適切な行動をとることが難しくなります。

03日常生活の困難

自己管理能力が低下し、食事、着替え、入浴などが困難になり、介護が必要となることが多いです

04言語能力の障害

言葉を見つけるのが難しくなったり、言葉の理解ができず、コミュニケーションが困難になります。


デジタル認知症の特徴

中年期以降の高齢者に多く見られる認知症とは反対で、デジタル認知症は、主に若年層で見られる現象です。

スマートフォン、タブレット、コンピューターなど、過剰なデジタルデバイスの使用が直接的な原因とされています。

デジタル認知症の主な症状

01注意力散漫

勉強中にスマートフォンの通知が来ると、集中力が途切れてしまうなど、長時間注意を集中させることが難しくなり、様々な情報源からの刺激に対してすぐに気が散ります。

02記憶力の低下

情報過多の環境では、深く理解する時間や余裕が減少します。新しい情報を学んでも、それが長期記憶へ移行するまで至らず、短期記憶に留まります。そのため、記憶の定着が難しくなります。

03情報処理能力の減退

短い記事や投稿文に慣れると、情報を表面的にしか把握できず、深いレベルでの理解や分析が難しくなります。優先順位や重要度の違いがわからないため、効率的に作業を進められず、ミスが増えたり、時間もかかります。

15歳までの「良質な教育」は認知症リスクを軽減させる

リスク要因としてよく知られているのが、高血圧・肥満などの心血管系問題や、喫煙・食習慣などの生活習慣です。しかし、「15歳までの教育歴不足」も、認知症の重要なリスク要因の一つです。この年齢までに受ける教育は、基本的な認知スキルと思考能力の基盤を築くため、非常に重要です。

教育を通じて、読み書きや計算、批判的思考などの基本的な認知能力が養われます。このスキルは、認知予備能を高めることに直結し、将来的な認知機能の低下や認知症のリスクを抑えるのに役立ちます。

認知予備能とは

認知予備能とは、脳が病気やストレスにどれだけうまく対応できるかを示す力のことです。知識を詰め込むだけでなく、創造力や思考力、社会性、実践的な学びなど、一生を通じて学び続ける姿勢を養うことで、子供の脳の働きは強化され、異なる部分がうまく連携するようになります。

そのため、良質な教育を受けた人は、教育をあまり受けていない人に比べて、将来的に認知症になるリスクが低いという研究結果があります。つまり、教育は脳を健康に保ち、認知症を防ぐ助けになるということです。


認知症につながるSNSの影響

SNSの過剰使用は、うつ病を引き起こす要因の一つです。現実の社会的支援よりもオンラインの交流を優先させることで、孤立感や孤独が増大します。他者との比較することで、自己評価が低下することもうつ病の一因となり、うつ病は認知機能の低下を促進にもつながります。

認知症を改善するTMS治療について

認知症とデジタル認知症は、異なる原因によって引き起こされますが、どちらもTMS(経頭蓋磁気刺激)治療が可能です。TMS治療は、特定の脳領域に非侵襲的な磁気刺激を提供することで、神経細胞の活動を促進し、脳機能を改善します。特に、認知症やデジタル認知症に見られる様々な認知的問題への効果が期待されています。

治療成功例

デジタル認知症

TMS治療が注意力散漫や記憶力低下といった症状の改善に役立つ可能性があります。特に若年層の患者に対して、TMSは神経回路の再調整と認知機能の強化を促し、デジタルデバイスの過剰使用による影響を軽減するための一つの治療選択肢となり得ます。注意力を向上させ、情報処理速度を高めることで、日常生活におけるパフォーマンスの向上が見込まれます。


認知症の治療

特に記憶力や実行機能の向上に役立つと考えられています。TMSは脳の神経可塑性を促進することにより、神経回路を再活性化し、病的な変化による影響を部分的に逆転させることができるため、認知症患者の機能改善に寄与することが期待されます。アルツハイマー病患者に対する研究では、定期的なTMSセッションが認知機能の一部の改善につながったことが報告されています。

まとめ

教育現場が大きく変わろうとしている今、デジタル学習は避けて通れない要素ですが、その使用方法には注意が必要です。こどもたちの健康を守るためには、適切にデジタルデバイスの使用すること、デジタルと現実のバランスが最も大切です。

TMS治療のような新しい医療技術を活用することで、デジタル認知症のリスクを軽減し、より健康な認知機能を維持するなど、デジタル時代を賢く生きるために、私たち自身が意識的な努力をすることが求められています。東京TMSマインドフルネスクリニックでは、TMS治療により、患者の心理的な不調を改善し、生活の質の向上を支援しています。お気軽にご相談ください。